Ikoyan’s diary

東海にある研究所の研究員です。日記代わりにポツポツ書いています。

大家さんとのトラブルで弁護士会へ

学位を取って数年目くらいの出来事です。
当時の自分の大家さんは、ご自分の家の敷地内に2階建ての小さい家を建て、賃貸用に貸し出しておられました。
今考えたら多分、ご自宅の立て替えの際の仮の住まいとして作られたものだったのではないかと(?)推測しています。


自分はその2階に、1階には大学生の姉妹が住んでおりました。2階には外階段で直接入れる作りで、帰宅も深夜だったため、1階の子達とは特別接触もありませんでした。


次の就職が決まって、引っ越しを3か月後くらいに控えたある日、大家のおばあさんに、「ベランダを新しいものに取り替えようと思うのだけど、いい?工事は部屋の外側だけで済むし、窓とカーテンを開けなければ生活には支障はないはずだし」と言われました。
平日はどうせ殆ど家に居ないし、生活に支障が無いならまあいいか、と承諾したのですが、、、


2月の激寒のある日、深夜に家に帰ると、、、
信じられないことに、ベランダの付いていた部屋の南側の壁が全部、無くなっていました。大袈裟ではなく、本当に、丸ごと取り去られていました。
四角く空いた穴に、上から青いビニールシートが垂らしてありましたが、ろくに止められてもいなかったので、風でヒラヒラして、めくれたシートの隙間から外の道路が見えておりました。
その穴の空いた部屋以外に独立した部屋があるわけでもなかったので、慌てて大家さんの家に行き、話が違う、こんな大穴が開いている状態で寝たりなどできない、と訴えました。
大家のおばあさんは自分の部屋に来て大穴を見ても、平然として「シートが張ってあるから大丈夫」と言いました。
いや、上から垂らしてあるだけなんで、風でヒラヒラめくれて外から部屋の中が丸見えなんですけど、、
それにこれでは暖房も効かないし、部屋の温度、外気温と同じなんですけど、、



現場を見せても大家さんは、「穴から遠いところで生活したら大丈夫」「1階の2人は何も言ってこない」「なんならうちに泊まればいい」などと言うのみで、全くこちらの困惑は理解してもらえませんでした。
「部屋に穴が開いているくらい何だ、ガタガタ騒ぐな」という感じの対応をされて、こちらもさすがに頭にきたので、その日はとりあえず近くのビジネスビジネスホテルに泊まり、翌日、部屋の現状の証拠写真を持って、すぐに東京弁護士会の有料相談に行きました。
ビニールシートが風でめくれて穴から外が見えている状態の写真を見せて「これは確かに生活できる状態ではないですね」と弁護士さんに言われて、自分の常識は間違ってなかったと、初めてホッとしました。


相談の結果、弁護士さんに「これは家賃を支払うに値しない部屋なので今月分の家賃は払わない」という内容証明を作成してもらい、大家さんに送ってもらうことになりました。また、その後の連絡は弁護士さんを通じて行ってもらうようにお願いしました。
当時は仕事の引継ぎなどで忙しく、風邪をひいたりしたくなかったので、お金はかかるけれども工事が終わるまで引き続きビジネスホテルに泊まることにしました。


3日ほどホテルからラボに通う生活をした後、弁護士さんから「工事は終わったそうです。内容証明は、今月分の家賃を取り返すのではなく、代わりに来月分の家賃を支払わない、それでホテル代と相殺ということで、同意して頂きましたが宜しいですか。」と連絡がありました。
1ヶ月分の家賃を払わなくてよいということで少し溜飲が下がり、部屋に戻りました。
部屋に入ろうとしていると大家さんが家から勢いよく出てきて、「ホテル暮らしとは豪勢だね!法律とか引っ張り出してきて、インテリはやることが違うね!」というような罵声を浴びせてきましたが、無視して部屋に入りました。
店子だった期間の殆どは大家さんと円満にやっていて、食べ物を貰ったりしたこともあったので、本当はああいう思いやりの無い人だったんだなと思うと、少し悲しくなりました。
それにしても賃貸経営をするなら「大家であっても店子に貸している家を無断で改築したり壊してはいけない」という法律は知っていて然るべきだとおもうのですが、、


後で同じ敷地内に家を建てて住んでいる娘さんに、「おばあちゃんちょっとボケてるかもしれなくて、、」と申し訳なさそうに言われましたが、こちらも頭にきていたので、そう思うならおかしなことをしないよう、しっかり監視してくれよ!としか思いませんでした。
ご家族もおばあさんに土地の権利でも握られていて、意見も出来ない感じだったのか、、



この事件に懲りてその後は、個人ではなく法人が大家の賃貸にしか絶対に住まないことにしました。
個人の大家さんは当たりが良ければ快適な賃貸生活が送れるのかもですが、トラブルが起こった際は自分のような不愉快な目に遭わされること必至ですし、ホント、お薦めしないです。



このトラブルの際、人生で初めて弁護士さんに会いに行き法律相談をしましたが、一通り自分の憤りを聞いて頂いて、その後「それで、どうなればあなたは満足ですか?」というように言われ、憤るばかりでそこまで考えていなかったと、ハッとしました。
どうしたいのか、、大家さんに謝って欲しい?いやあの人は自分が正しいと信じているようだし、心から謝ったりはしないだろう、、
ビジネスライクに、家賃を払うに値しないからその月の家賃は払わない、というのではどうだろう、、と、弁護士さんと一緒に落とし所を考えているうちに冷静になってきました。
似たようなトラブルであっても、きっと落とし所というのは人それぞれなんだろうなと思いました。