Ikoyan’s diary

東海にある研究所の研究員です。日記代わりにポツポツ書いています。

夜型の研究者は成功するというのは本当か

これは院生仲間やボスドク仲間とよく議論したテーマですが、、



院生や研究者の中には、夕方5時くらいにラボに顔を出して、明け方の4時5時まで仕事をし、皆が来る午前8時~9時には帰宅してもういない、という、夜型生活を好んで送る方が一定の割合でいます。
彼らや、彼らを擁護する人が言うには、何時に来てもトータルの仕事量は昼に来ている人たちと変わらないので構わない、夜は実験器具が空いていて順番待ちなどしなくてよいし、他のメンバーもそうすることで助かっているはずだ、あの有名な○○先生も夜型人間らしい、良い研究のアイデアは深夜に酒を呑みながら議論している時などに出てくる、などなど。
正直、何か違和感を感じながらも、「そうなんですか」と答えておりました。



研究業界に十数年居座り続けて観察をした結果、「夜型の研究者は将来偉くなる」という説は、やはり都市伝説みたいなものに過ぎないということが分かってきました。
偉くなって自分のラボを構えているような先生たちの大半は、学位取得前後くらいには家庭を持ち、博士課程の院生~ボスドク時代にかけても、朝9時くらいにはラボに来て、夜は遅くなろうとも家にちゃんと帰っておられます。
あの人は何時に来るかわからない、、と周りに不安感を与えるような気ままな生活をしていた方で、人を指導するような立場になられた方は、知っている限り、ほぼいません。
大学教官や主任研究員を目指すのであればやはり、昼にはラボにいて他のメンバーとコミュニケーションを取り、試薬や実験器具の購入、修理などのことで出入りの業者とやり取りし、といった経験を積まないといけないと思いますし、そういったことをやらないで深夜に来て明け方に帰る生活を続けたのに、いきなり責任ある立場に大抜擢、というのも、余程すごい業績でも出さない限り、あり得ないと思います。


昔同僚や先輩と話していて「夜型の研究者の方が偉くなる」という話を聞いた時に感じた違和感は、後々考えると、「それって結局、お昼にちゃんとラボにいるメンバーに、学生さんのフォローや業者さんの相手、研究関係のゲストの接待などを押し付けているだけなのでは、、」というところから来ていました。
当たり前みたいなことですが、研究の世界も人間が集まってできていますから、ある程度は周りと調和してやっていけないと、一握りの天才みたいな人を除いては、研究コミュニティからはじかれるのは必至です。



というわけで、深夜族の大学院生、ポスドクの方々は、かったるいかもですが、少しずつでも昼型の生活にシフトされることをお勧め致します。
深夜の誰もいないガランとしたラボは快適かもしれませんが、それと引き換えに、知識以外のラボ運営にかかわるいろんなことを学ぶ機会をロスしているのではと、思います。