Ikoyan’s diary

東海にある研究所の研究員です。日記代わりにポツポツ書いています。

iPS研究所の研究不正問題について 2

怖れていたような、マスコミによる延焼のようなものが無くて取り敢えず安心しています。


今回は残念なことに不正を働いた方が1人いたことが発覚しましたが、所長の山中先生と真っ当な研究所員は、日夜難病を治すことを目標に努力されています。
どうかマスコミの方はSTAPの時のように、誇張や真実かどうか確かめもしていない事で組み上げた、その場の面白さが最優先というような報道で、日本の宝とも言える山中先生と、彼が心血注いでいる研究所の活動を邪魔をしないで欲しいです。



iPS細胞作成技術は現在はもう、どこの研究室でも樹立できると言っていいくらい当たり前になっています。
従来ヒトについての研究は、たまたま上手く増やし続けることができた、ごく限られた細胞株を使って行うしかなかったのですが、現在はヒトiPS細胞から多様な種類の細胞を分化させ、基礎研究や創薬、毒性試験に利用することが可能になっています。
加えてiPS細胞から作られる、今流行りのオルガノイド、、生体のものと変わらない構造を持つ、ミニ腸、ミニ肝臓、ミニ腎臓、などを作る技術が開発されつつあります。
健康なヒトの臓器をルーチンに手に入れて実験をすることはできませんので、本当に、貴重なものです。
研究、創薬、移植医療などにどんどん応用されていくと思います。



繰り言になってしまうのですが、マスコミの方は本当に、日本が世界に誇る研究所を、刹那的に視聴率や雑誌の売り上げを伸ばすためなどに傷つけないで欲しいです。
現在そうお年寄りでもない若い方は特に、iPSを使った研究により生み出された細胞治療の技術や医薬品に命を助けられる可能性も大いにあると思いますし。